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障害者手帳の日常生活用具給付制度、有り難いけど使いたいものが選べない?!

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気管切開をしている医療的ケア児の命綱吸引機&吸入器。

その吸入器が、急にウンともスンとも言わなくなりまして。

「直そっか?」と修理好きな長男が、壊れた吸入器から内部の基盤を1こ取り除いたところ、なぜか一時的にスイッチが入るようになったので、だましだまし使っています。

ほんとは勝手に分解しちゃダメだし、外した基盤も何らかの役割を持ってるはず💦あくまで一時しのぎかつ、自己責任です!!

次男は普段でも一日4回、体調が思わしくない時は3時間ごと一日8回の吸入が必要になるので、できるだけ早めに新しいものを準備したいところ。

そこで今回は、身体障害者手帳の日常生活用具給付制度を使って、吸入器を購入することにしました。

実はかれこれ1か月くらい申請のための準備をしていたのですが、制度の壁にぶつかって、本当に使いたいものが選べない!!という状況になっておりました💦

一度制度を使って申請したら、5年間は再申請できないので、できるだけ妥協せずに選びたいものですが…

この記事では身体障害者手帳の日常生活用具給付についてのおさらいと、動ける医療的ケア児のニーズ×制度のはざまのリアルな現状をお伝えします!

日常生活用具給付制度のおさらい

制度の概要

日常生活用具給付制度は、障害を持つ人がより自立した生活を送るために、必要な用具を提供(自己負担アリ)する支援制度です。

対象者の身体状況や生活環境に応じて、様々な日常生活用具が支給されますが、支給される用具は自治体ごとに異なります。

私たちの住んでいる福岡市では、車いすや歩行器、入浴補助用具、コミュニケーション機器などが対象になっています。また、医療的ケアが必要な場合には、吸引機や吸入器などの医療機器も支給対象になります。

申請に必要なもの

日常生活用具給付制度を利用するには、各区の担当窓口で申請手続きを行う必要があります。

申請の際は以下のものをそろえて提出します。

  • 日常生活用具給付申請書
  • 身体障害者手帳、特定疾患医療受給者証、医師の意見書等、難病患者であることを証明するもの。
  • 希望する用具の見積書 ※2社以上の見積書が必要
    (事前に福岡市に登録している業者の見積書)
  • 希望する用具のカタログまたはその写し
  • その他(必要な場合)
     ・本人や世帯員の方の収入や課税状況が把握できる資料
     ・医師の意見書(必要な場合のみ)

自己負担額

原則、用具給付費用の1割負担ですが、所得に応じて下記のとおり一定の月額負担上限額があります。

たとえば、一般の課税世帯(生活保護や非課税世帯でない場合)はひと月当たりの助成の上限が37,200円と定められています。

吸入器&吸引機などのように一度に複数の用具を申請する場合、負担額の合計が規定額(この場合37,200円)以下ならば同月内にまとめた方がお得とのことです。

申請が通ったら

申請後、10日~2週間で給付の可否について通知が届きます。

申請が通ったら、日常生活用具の給付券が届きますので、見積もりを依頼した業者(の安い方)に連絡して、用具を購入します。

自己負担金が発生する場合は、その金額分を商品到着時に支払い、完了です。

欲しい吸入器が選べない問題

次男が医療的ケア児となってから現在まで、購入した吸入器は3台です。
うち一台は、制度を活用せず、全額自己負担で購入しています。

実は日常生活用具給付制度を利用するには、定められたいくつかの条件を満たす必要があります。公費なので当然ですね。

でも、その条件内では、本当に使いたい用具が選べない…ということがよく起こります。

そんなに気に入っているものがあるんなら、自費で買えばいいじゃん!って思われるかもしれませんが、医療関係の用具って高額なんですよね。

基本数万円、時には数十万円。

命を守るために必要なものなので「買わない」という選択肢はないんですが、ちょっとでも負担が軽くなるなら嬉しい。

だから悩むわけです。

購入したい吸入器はコレ!

オムロン コンプレッサー式ネブライザ NE-C803
by カエレバ

現在使用中、というか故障中の吸入器がこちら。
小さなコンプレッサー式の吸入器です。ゾウさんは外せます。

元々使用していたメッシュ式の吸入器が故障した時、まだ再申請できる時期ではなかったので、つなぎとして購入しました。

でも、実際に使用してみると大当たり!
あまりにも使い勝手が良すぎて、次男も「次もこれがいい~!!」と切望中。

何がそんなにいいかというと、

  • 小さくて軽いので持ち運び便利!
  • 本体も、パーツもシンプルでさっとセットできる
  • 使い終わったら水洗いでOK!(適宜消毒)
  • 吸入が早く終わる!
  • 買い替える消耗品が少なくランニングコストが良い!

言い方は悪いかもしれないですが、小学生が多少雑に扱っても大丈夫なシンプルさと、手入れの簡単さはありがたいですね。
この吸入器だと吸入の準備から片付けまで、子どもが一人で行えます。自立可能。

あと、次男は学校でも休み時間に吸入をしているので、ちょっとでも早く終わる方が休み時間がつぶれなくて嬉しい、というのもあるようです。

でも、この吸入器、日常生活用具給付制度では基本的に購入はNGなんです。
なぜか?

区の担当課の方に聞きました。

希望の吸入器が購入できないわけ

日常生活用具給付制度を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、希望する機種は以下の理由でNGになってしまうようです。

  1. 公式オンライン限定商品のため、登録業者から相見積もりが取れない
  2. 購入可能な機種のリストに含まれていない
  3. 災害時でも対応できる充電機能がない
  4. この機種でなければならない理由がない

公費からの補助が出るので、条件が厳しいのは分かりますが、これらをクリアしなければ、申請しても通らないとのこと。

これを踏まえて、オススメというかOKの出る機種についても確認しました。
第2希望と第3希望の吸入器です。

第2希望の吸入器(コンプレッサー式)

オムロン コンプレッサー式吸入器 NE-C28(1台)
by カエレバ

購入を希望している吸入器と形がよく似ていますね。
でも、価格はおよそ2倍、大きさは2倍、重さは約10倍、こちらの方が大きいです。

コンプレッサー式なので、手入れのしやすさやランニングコストはあまり変わらないと思います。
でも、重さが2キロもあるので子どもが学校に持って行ったりするのはちょっと酷。置き場所も考えなくてはなりません。

実はこの吸入器も充電式ではないのですが、なぜかこちらは助成対象品目になっているとのこと。不思議ですよね。

利用者の現場のニーズを踏まえた上で、ぜひ対象機種を増やしてほしいものです!!!

第3希望の機種(メッシュ式)

OMRON メッシュ式ネブライザ 吸入器 NE-U100
by カエレバ

コチラは過去に使っていたタイプ。

「なんでこれが第3希望なの?」って驚かれるかもしれないくらい、医療的ケア界隈では一般的で優秀な吸入器です。

そう、すごくいいんですよ。コンパクトだし、電池もACも使えるし。
申し分ないんです。大人が使うには。
でも、メッシュ式の吸入器って、小学生にとっては精密機器過ぎてお手入れも大変なんです。

使用するたびにメッシュを水通ししたり、ため水でゆすり洗いしたり(流水厳禁)、電極を濡れガーゼで拭いたり。

さらに、メッシュは消耗品なので、詰まってくると吸入速度も落ちる。
準備から片付けまでに時間がかかってしまうので、最悪学校の休み時間が吸入だけでつぶれちゃうわけです。

子どもが体調不良の時に深夜の吸入&お手入れに時間がかかるの、メンタル的にもきついので、私もさっとできる方が好き。

親目線で言うと、このメッシュにかかるコストも見過ごせません。
定期的な交換にかかるコストは3850円。
わが家の通常使用では年2回程度の交換なので、3回交換する金額で第一希望の吸入器が一台買えちゃう計算になります。

要望を伝えるためにやったこと

話を聞く限り、第一希望の吸入器を購入することは難しそう。
第2、第3希望のどちらかを購入して、細かいところは目をつぶるしかないのかなぁ…とも思います。

でも、現実問題、こういうニーズがあるんだよっていうことを伝えるためにも、できる限りのことをやってから、今一度要望を伝えてみようと思いました。

公式販売サイトに見積もりを依頼

希望の吸入器が公式サイト限定販売だったため、申請のための見積もり作成ができるか聞いてみました。結果、見積書の作成は行っていないとのことでしたが、代理店を紹介してくれました。

代理店にコンタクトをとると、見積もり作成OKとのこと。
一歩前進!と思いきや、他店での取り扱いがないので相見積もりが取れません。
公式販売サイトの販売ページ+1社じゃダメかなぁ。
ひとまずここで保留となります。

災害時の使い方について検討

医療的ケアににとって電力は命を守るために必須の備え。
わが家では災害等による停電に備えて、ポータブル充電器を置いています。
ソーラーパネルセットがオススメ。
(子どもの命に関わるこういうものこそ、助成で買えるようにしてほしいですよ…本気で…)

☆自治体によっては一部購入金額を助成してもらえる地域もあります!検討される場合は必ず役所に問い合わせを!!!

Jackery ポータブル電源 1500
by カエレバ

吸入器を自宅で使用する分には大丈夫かと思うのですが、学校で停電になった時どうするかを考える必要があります。

これもAC出力が可能な小型の充電池が現実的かなと思います。
今は小型で大容量の物がたくさんありますね。
吸引機の予備バッテリーとしても使えるので、モバイルバッテリーを持参するということで解決するかと思います。

この機種でなければならない理由

一人で持ち運び可能で、家でも学校でも使えること。
自立を促すために、一人で取り扱いができること。
学校の授業を妨げないこと(休み時間に使用可能)。

このあたりが理由になるでしょうか…。

もう一つの理由「リストに載っていない」は、現時点ではどうしようもないので、希望を伝えてみることにします。

申請窓口で改めて相談

どうしても無理だった時のために、第2希望の吸入器で申請できるように業者から見積もりを取ったうえで、申請窓口へ。

改めてこれまでの経過を伝えて、購入希望の吸入器について、申請可能かどうかを尋ねました。

区の担当課だけでは判断ができないため、市の当局にも相談してもらえるとのことで、要望を伝えるために準備してきたこと全てをとても細かく聞いてもらえました。

なので、私もこの場ですこし本音を担当者に伝えることができたかな。

  • 医療ケア依存度の高い動ける医療的ケア児にとって、従来の対象品目(バギーなどに載せることを想定)は重すぎて本人や看護者の持ち運びの負担が大きいこと
  • 子どもはケアだけを受けて生活しているわけではなく、学校などの社会生活も送っているので、両立がしやすい機種を選びたいこと
  • 難病のある子はこれからも医療機器とともに生きていくので、ニーズに応じて対象品目を追加したり、見直したりしてほしいこと

なかなか、当事者の思いを伝える機会もないので、これだけは知ってほしかった。

吸入器の申請の可否については追って連絡があるとのことでいったん帰宅しました。

実際の購入方法

数日して電話連絡が担当課からきたのですが、なんと「今回は1社の見積もりで申請可能(相見積もり不要)ということになりました」とのこと!!

あのあと、公式サイトから紹介された代理店に連絡して事情を詳しく聞いてくださったらしく、そういう事情なら…ということで可能になったそう。

電源問題についても、停電の時でも使えるようバッテリーを携帯するという条件でOKが出ました。

ただし、購入の仕方は通常とは少し異なり、最初に自分で一括で支払いをした後であらためて申請を行う「償還払い」になるようです。

なんにせよ、希望の機種が継続して使えることになりそうでよかった!!

まとめ

日常生活用具給付制度は、病気や障害を持つ人にとっては非常に重要な制度です。
でも、この制度がすべての利用者のニーズに適切に対応できているわけではありません。

今は障害像も多様化しており、ケアのニーズも人によって異なるため、現在の制度だけではカバーできない部分も増えているのではないでしょうか。

こうした制度は一度作ったら終わり、ではなく、利用者の声に合わせた見直しも必要になるかと思います。当事者の声がちゃんと届くように、私たちも声を上げていく必要がありますね。

最後に、お手数をいろいろおかけしましたが、最後まで一緒に考えてくださった市&区の担当者様、ありがとうございました!