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気管切開の閉鎖に向けて10歳でVF検査を実施!【動画あり】

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先日、医療的ケア児(気管切開)でもある10歳の次男がVF検査を行いました。

VF(ビデオフルオロスコピー)とは、嚥下(飲み込み)の機能を詳しく評価するために行われる検査です。

次男は産まれてすぐに気管軟化症と診断されて、生後半年で気管切開を行っています。
成長して体が大きくなるにつれ、気管軟化症については改善しているものの…、様々な要因で気管切開の閉鎖には至っていません。

今回のVF検査は、私たちがこれまで10年間、目標として頑張ってきた気管切開の閉鎖を、諦めなくてはならないかも…という状況のなかで、今後の治療方針を決めるために実施しました。

今回の記事では、

  • 気管切開の閉鎖と誤嚥の関係
  • VFって何?
  • VF検査の結果
  • 結果を踏まえての取り組み

こうした内容をシェアしていきたいと思います!

ちょっと長くなりますが、よろしければお付き合いくださいませ^^

誤嚥の有無が気管切開閉鎖の可否を決める

気管切開をしている次男は、痰の分泌量が通常のお子さんよりも多いです。
そして、気管切開の閉鎖を考えるうえで、この痰の多さがネックになってしまっています。

気管切開児が痰が多くなる理由
  • 気管切開をすると、鼻や喉の粘膜フィルターを遠さず、直接気管から空気が入るため、異物が気管に入りやすくなります。その異物を除去するために、体が痰を多く分泌します。
  • 気管切開のチューブは体にとって「異物」として認識されるため、痰が多く分泌されてしまいます。

どうして痰が増えるのがまずいのか。

それは、痰が気道や肺にたまることで感染のリスクが上昇し、気管支炎肺炎を起こしやすくなるから。(実際、次男が小学校の低学年ぐらいの年齢までは、毎週のように熱を出していました)

肺炎の怖さは言うまでもないかと思いますが、先日、呼吸器科で次男の肺のCTを比較したところ、3年前よりも今の方が、わずかに気管支拡張の程度が増加していました。

どういうことかというと、肺炎を繰り返したことで、肺の細胞が一部固くなってしまってしまったということが予測されるのですね。これが呼吸器疾患のある子には恐ろしいんです。肺の機能の低下につながりますから。

ただ、今回の比較では、どのように悪化をしていったのか、その経緯までは分かりません。

時間とともに、少しずつ徐々に悪化したのか。
頻繁に熱が出ていた時期に一気に進んで、あとは落ち着いているのか。
コロナにかかった時に一度に悪くなったのか。

いずれにしても、今ある肺の機能を守っていくためには、以下の2つがとても大切です。

  • 痰をしっかり排出すること
  • 誤嚥を起こさないこと

だからこそ、呼吸器科の見解としては「気管切開を閉じることは現時点ではお勧めできない」ということになったそうです。

本人も閉鎖を目標に頑張ってきたんだし、諦めたくはない!
でも、…次男の命の安全が一番大事だし…閉鎖は諦めるしかない?!

話をされた当初は、私たちもめちゃくちゃ葛藤したり、落ち込んだりしましたが、まだ最終的な判断をするには材料不足。

呼吸器科以外の科とも連携して、総合的に検討していく必要があります。

痰をしっかり排出するなら気管切開が有利

とはいえ、気管切開をした状態というのは、実は痰の管理(=呼吸管理)には有利な点もあります。吸引によって直接気道から痰を引くことができるので、痰が排出しやすく、体内の痰の貯留が少なくすみます。

先天性ミオパチーのように呼吸筋に影響が出るような病気の場合、気管切開を閉じると痰の排出がしづらくなるリスクもあるため、あえて閉じないという選択肢もあります。

誤嚥があると肺炎のリスクが高い

成長するにつれて頻度は減ってきたものの、次男はよく熱を出します。
熱の原因の1つとして、呼吸器科では誤嚥(による肺炎)を疑ってきました。

そして、基本的に誤嚥がある子は気管切開の閉鎖はできません。

次男は明らかなムセ(誤嚥)は見られないのですが、気管切開をしていると咽喉頭の感覚障害が起きている可能性もあり、唾液の流れ込みに気が付かずに不顕性の誤嚥を起こしていることも考えられます。

気管切開していると誤嚥のリスクが高まるのに、誤嚥があると閉じれないなんて、じゃあどうすりゃいいのよって思いますよね?

とにもかくにも、気管切開をしている子どもたちは肺炎を起こさないことが大事なので、分泌物や異物を吸引でしっかり取り除くためにも、気管切開は開けといたほうがいいということのようです。

そして、もし誤嚥があるならば、誤嚥しないような食事の形態に変えて、肺を守ることも必要になります。

ということで今回は、実際に次男は誤嚥があるのか?を確認するためにVFを行いました。

VF(嚥下機能検査)とは?

VF検査(ビデオフルオロスコピー)は、嚥下機能を詳細に評価するための検査です。

この検査では、X線を使ってリアルタイムで子どもが食べ物や飲み物を飲み込む様子を観察し、誤嚥が発生していないかを確認します。嚥下機能が気管切開閉鎖に十分対応できるかを評価するため、必須のプロセスとされています。

今回のVF検査では、バリウムという造影剤を混ぜた水を何口か飲み込んで評価をしました。

これでX線を通して喉や気道の動きが可視化されるため、嚥下のプロセスを正確に評価することが可能になります。

とはいえ、説明だけだとイメージが湧きづらいと思いますので、実際の次男の検査の様子をご覧ください!

実際のVF検査の様子

まずは動画を見る前に、画像に映っているものについて簡単に説明しますね。

こちらは口からバリウムを溶かした水(造影剤)を飲んでいる画像です。
白く映っているのがバリウムが通過中の食道
食道の前側が気道です。
そして、気管切開の孔からシリコンのカニューレが気道に挿入されているのが見えると思います。

実際のVFの動画

このVF検査では、以下のポイントに着目して嚥下機能を評価しています。

評価のポイント

食べ物や飲み物が正しいルートを通っているか

バリウムを含んだ水分が口から喉、そして食道に向かってスムーズに通るかどうかを見ます。本来、食べ物は喉を通った後に食道に入り、胃に運ばれますが、誤って気管に入ると、誤嚥につながります。この誤嚥が起きていないかを確認するのが重要です。

誤嚥が起きているかどうか

VF検査では、誤嚥が発生しているかどうか、そしてそれがどのタイミングで起きるかに注意を払います。例えば、飲み込む前、飲み込む途中、または飲み込んだ後に誤嚥が起こる場合があり、その状況に応じて対策を考えます。

飲み込むタイミングや力

飲み込むタイミングが適切かどうか、または飲み込む力が十分かどうかも評価します。飲み込みに時間がかかりすぎたり、飲み込む力が弱い場合、食べ物が喉に残ったり誤嚥のリスクが高まります。

咽頭(のど)の動き

喉(咽頭)の筋肉がしっかりと動いているかも重要です。飲み込む際に、喉の筋肉が食べ物を食道へと運ぶため、喉の動きがスムーズか、詰まりなどがないか観察します。

声門の閉じ方

飲み込んだものが気管に入らないように、声門という部分がしっかりと閉じているかを見ます。声門がしっかり閉じないと、誤嚥が起きやすくなります。

次男のVF検査の結果

以上のポイントを踏まえて、次男の嚥下の様子を評価したところ…
オールクリア!!!!やったね!

めちゃくちゃ美しい嚥下です。(私の主観)

医師からも、明らかな誤嚥はなく、嚥下の状態も申し分ない!とお墨付きをいただきました。

これで「誤嚥がありそうだから、気管切開は閉じれない」という筋が1つ消えて、本人も家族もひとまず胸をなでおろしたところです。

でも、誤嚥がないとしたら…頻回な発熱や、肺の気管支拡張の原因は?

というところで、今後やるべきことを話し合いました。

VF検査の結果を踏まえた取り組み

VF検査の結果より、誤嚥があって肺に悪さをしてるのでは…という仮説が消えました。

ということは、やはり気道内に長時間の痰の貯留があるのが原因ではないかということになります。

これは気管切開によって痰の分泌が増えているのに加え、先天性ミオパチーによる筋力の低下によって痰の排出がしづらいことが影響しているのかもしれません。

そこで、大切になってくるのが呼吸リハビリテーション。
とくに先天性ミオパチーの子どもたちにとっては将来的なQOLを左右するものだと私は思っています。

ちょうど最近、家で始めた呼吸訓練に加え、病院ですすめられた器具を使ったリハビリも始めていくことになりました。

毎日続けることが大切なので、基本自宅での取り組みになります。

私たちが自宅で意識している呼吸リハ(というと大げさですが、一応リハビリ専門職なので笑)についても、紹介したいと思っていますので、よかったら楽しみにしていてくださいね!

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